甲状腺機能低下症と病院で診断され、甲状腺ホルモン薬の代表格「チラーヂン」を服用している患者さんの話。
この方は、皮膚症状を主訴で来院されたのだが、問診・検査をして、非常に体内浄化環境が悪く、自律神経の乱れが強いことが分かった。
病歴を見ても、過剰なストレス・飲食の乱れが募ると体調を崩したり、皮膚症状が顕著にひどくなったりしていた。
ある時、過剰な心身負担のために仕事を辞めた後しばらくして、体の不調を感じたため、病院に行ったところ、血液検査などの数値が悪く、
「甲状腺ホルモンがほとんど出ていない」
「甲状腺が委縮している」
「甲状腺機能低下症」
と、言われ、ただちに「チラーヂン」を処方されたという。
ちなみに、甲状腺における正常の基準値として、
- 甲状腺ホルモン(FT4):0.7~1.48
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH):0.35~4.94
という数字が設定されているのだが、この方の場合、「甲状腺ホルモン(FT4)」が出ないために、甲状腺を刺激する「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」が過剰に出ている状態であった。
それゆえ医者は、
「甲状腺ホルモン薬を用いて甲状腺ホルモンを補充し、甲状腺刺激ホルモンを過剰に出す必要が無くなれば正常数値に至る」
と、いう方向性の治療を促したのだ。
だが、重要なのは、そもそもこの方の甲状腺ホルモン分泌が一時的に狂っていたのは、甲状腺そのものが壊れたわけではない点だ。
「甲状腺が委縮しているから使い物にならない。だから薬でホルモンを補充させるしか手はない」
「一生飲み続けないといけない」
と、医者は言うだろうが、実際はそうではなく、過剰な心身の疲労などが原因で一時的に甲状腺が小さくなりホルモン分泌が少なくなっただけで、環境を整えてやればホルモン分泌は元に戻っていくのだ。
だが、へたに薬でコントロールしようとすることで、自然な流れでのホルモン分泌が阻害されてしまう。
「体にあるホルモンを補うのだから、チラーヂンの使用は人体にそこまで害はない」
などと医者は言うが大間違いで、実際は有害だらけである。
【甲状腺ホルモン薬】
●チラーヂンS錠75μg(レボチロキシンナトリウム錠)
<効能・効果>
クレチン病
甲状腺機能低下症
甲状腺腫
粘液水腫
下垂体性甲状腺機能低下症
原発性甲状腺機能低下症
<副作用>
AST上昇 、 ALT上昇 、 γ−GTP上昇 、 過敏症状 、 肝機能検査値異常 、 心悸亢進 、 脈拍増加 、 不整脈 、 頭痛 、 めまい 、 不眠、狭心症 、 肝機能障害 、 黄疸 、 著しいAST上昇 、 著しいALT上昇 、 著しいγ−GTP上昇 、 発熱 、 倦怠感 、 副腎クリーゼ 、 全身倦怠感 、 血圧低下 、 尿量低下 、 呼吸困難 、 晩期循環不全 、 血清ナトリウム低下 、 ショック 、 うっ血性心不全、振戦 、 神経過敏 、 興奮 、 不安感 、 躁うつ 、 精神症状 、 嘔吐 、 下痢 、 食欲不振 、 筋肉痛 、 月経障害 、 体重減少 、 脱力感 、 皮膚潮紅 、 発汗
・・・「狭心症」「うっ血性心不全」「躁うつ」「ショック」「振戦」「肝機能障害」になる可能性がある薬のどこが安全なのか。
私は、このチラーヂン服用が皮膚症状やメンタル面でも悪影響を及ぼすと考え、体を整えながら、段階的に少しずつ減薬していく方向性で改善を勧めようとこの方に提案した。
だが、患者さんから皮膚症状への心配を伝え聞いた医者は、
「チラーヂン服用と皮膚症状とは関係がない」
「チラーヂンを飲んだからといって皮膚には影響しない」
と言ったらしい。
副作用には、「皮膚潮紅」「過敏症状」「興奮」「精神症状」などしっかり皮膚や過緊張に関わる副作用が並んでいるにも関わらずだ。
さらに「肝機能障害」やら「全身倦怠感」やらがある以上、解毒器官に負担をかけてしまうのは明白であり、体内浄化環境が悪くなってしまうことは避けられない。
皮膚症状の本質は、体内浄化のためのやむなきイレギュラー反応であり、毒素を皮膚から排泄している姿である。
体内浄化環境が薬によって悪くなるのだから、皮膚症状が悪化したとして何の不思議でもない。
もちろん薬を使う以前から体内浄化環境が悪かったために皮膚症状が出ていたのだが、それをさらに上乗せして悪化させるのが薬の毒性ということだ。
(まあ、「人体に害はない」とか言っている時点で、ろくに副作用を見てもいないのだろうが。)
そのため、理屈で話していてもきりがない故、方向性としては、まず体を整え、データ数値を良くしていき、医者が減薬せざるを得ない状況を構築していくことを考えた。
実際、施術後の血液検査では、大幅に数値が改善(FT4が増え、TSHが減る)し、医者も驚きを隠せなかったという。
(主に、エネルギー療法による感情・毒素・内臓・間脳・自律神経などの調整)
そののちも、数値はいい感じで推移したため、とうとう医者も少しずつ薬の量を減らすことに同意した。
(というのも、甲状腺ホルモンがきちんと出ているのにホルモン補充をする甲状腺ホルモン薬を飲めば、今度はホルモン過剰状態になってしまうため、甲状腺機能亢進症のようになってしまうから。)
一時は、「このまま数値が安定すれば、止められるのかも」などという発言もしていたらしい。
だが、ある段階で、「完全に減らすことはない」「それは有り得ない」と言って、数値がどうこうよりも「とにかく薬はなくせない」ということを主張しはじめたそうだ。
加えて、それまで睡眠時間や飲食やストレスやらを注意深くしていたこの方も、そうした医者の方針にがっかりした事に加え、日常のあれこれもあっておざなりになりがちとなり、数値がおもったよりもよくならない状態に陥った。
これは、長期的にクスリを使い続ける弊害もあるだろうし、そもそも「この数値がどこまで信頼できるものなのか、どこまで本当の意味での健康度をつかめるような根拠があるのか」という疑問もある。
繰り返すが、この方は本来、甲状腺ホルモン薬などを飲む必要などなかったのだ。
それが、服用を続けることで体に害をもたらし、本来のホルモン分泌を狂わせる結果にもなり、なおかつ皮膚症状などにも悪影響を及ぼしている。
あくまでチラーヂンの減薬・断薬は、飲食・心をはじめとする日常生活の在り方を整え、栄養状態を高め、浄化排泄を促したうえで、少しずつ減らしていくべきものであり、いいかげんにベースを行ってしまってはなかなか進まない。
その上、医者が減薬に協力的でないのだから、数値本位で(しかも良くなっても止めないと言っている)しかジャッジを行わない中、薬を止めることは困難である。
結果、皮膚症状も一進一退を続ける感じで、比較的マシな時期もあれば、日常の乱れの影響を受けることもあるという消化不良状態が続く状態となった。
今後の事は、今言ったことができれば実現できるだろうが、現状の在り方では難しいだろう。
結局、方向性の提示は出来ても、本当意味で覚悟を持って患者自身がのぞまなければ、チラーヂンの断薬には至りきらないということだ。
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逍遥堂でございます。